同一労働同一賃金は無理なくすすめて

最終更新日 2024年4月4日 by negiba

同一労働同一賃金が2020年4月より施行される

同じ労働をしている労働者に対してはその雇用形態が正社員・非正規職員・パートなどの違いがあっても、同じ賃金が支払われるというようになる決まりがあるのですが、それが大企業では2020年4月・中小企業では2021年4月から徹底されるようになります。

以前2018年6月に働き方改革と言われている法案が改正・成立して、2018年7月から施行されてきました。
同一労働同一賃金に関しては各企業においてそれぞれ対応が必要と考えられて、施行までの時間に猶予がありましたが働き方改革の中において最も大切なことになりそれが2020年4月より施行されるのです。

同一労働同一賃金にするのは働く人の仕事ぶりや能力が適正に評価されて、やりがいを持ちながら意欲的に仕事に取り組む事が出来るように、正規労働者と非正規労働者の間の不合理な格差の解消を目指したものになります。

その格差は賃金だけを見るのではなく、賃金以外の手当などにも対応出来るように決められているのです。
日本と海外を比べて見るとフルタイムの労働者の賃金を100とした場合に、日本のパートタイム労働者は57・英国は71・フランスは89となっており欧州の国と比較すると賃金格差が大きく、同一労働同一賃金に対しての考えが進んでいるのは欧州になります。

非正規労働者は2000万人を超え比率も37%を超えている

性別や人種などに区別をつけずに同じ労働に対しては、同じ賃金を支払うべきだと欧州を中心として言われてきていました。
日本においては正規労働者と非正規労働者の待遇の差や、同じ仕事をしているにもかかわらず雇用形態に違いがあるために給与・福利厚生・キャリア形成などの待遇に違いがあり多くの非正規労働者の不満のもととなっています。

国内の労働者全体から見ると、非正規労働者は2000万人を超えていて比率も37%を超えているのです。
同一労働同一賃金となった時には非正規労働者にとってどのような変化があるのかというと、最も大きな事には賃金が上がり経済的な余裕が生まれてくる事になります。

賃金が決まるのが雇用形態や勤続年数により決められるのでは無く、個人の持つ能力・経験・成果により決められていくようになると、人生の中で大きなウエイトを占めていた正規労働者だけを目指す必要も無くなるのです。

正社員となり同じ会社や企業でより長く勤めることが、幸せの第1となる考えも改められるような社会になっていきます。

正規雇用者の賃金が下がる可能性も・・・

企業にとっては賃金が上がることにより非正規雇用者の人たちの労働に対する意識が高くなり、生産性が高くなり業績が上がっていく可能性も十分考えられるのです。

会社が必要としている人材も給与水準が高くなることで、退職をする人が少なくなることも考えられます。
 その一方これまで正規労働者として働き漫然と高額な所得を得ていた人にとっては賃金の再配分がされるようになり、これまで得ていた分より低くなる可能性もあるのです。 

自分の立ち位置を正社員だからと甘え、自分の能力を上げる努力や経験を自分の中に活かしてこなかったような人にとっては賃金の低下となる場合もあります。

同一労働同一賃金はこれまで同じような仕事をしてきた非正規労働者にとっては、とてもありがたい制度になる場合が多いのですが、それは企業にとっては人件費が高騰することにつながっていくようになるのです。

同一労働同一賃金がもたらす弊害について

そうなると人件費をカットするためにリストラが増えたり、企業を進展させるための投資が鈍くなってしまうことも考えられます。
賃金の差がある場合には企業は労働者に、その理由を合理的に納得できるように説明が求められていくようにもなるのです。

同一労働同一賃金が前提となった時に、同じ会社内であっても違う仕事があり給与水準も違っている部署への移動などがスムーズに行われないなどの弊害が起きることも想定されます。

働いて満足を得る中の最も重要な項目に待遇がありますが正規労働者はその部分の満足度は高く、中でも大企業と言われるところでは平均年収は約560万円で中小企業では平均年収は約447万円となっており、非正規は大企業と中小企業ではそれほど変化がなく約345万円です。

社会的な身分とも言える格差がある雇用状態は自分で望んでなっている人は少なく、格差が少ない社会を目指しています。
だからといって労働者全てが同じ待遇で良いのかということもあり、正社員には転勤があったりトラブルが起きた時にはその対応・緊急時における対応などの仕事や責任も、非正規労働者には負わないようなものも多くあるのです。

まとめ

同じ仕事をするなら同じ待遇でというのは当たり前の感じがありますが、それをしないように仕事をきっちりと分けてしまうようになると、今度は非正規労働者の能力がいつまでも上がらない状態となってしまいそれがやる気を削がせてしまいかねません。

権利の行使を求めるのは当然のことで、その義務を果たすために努力をするのも必要ですが、あまりにも前のめりになって求めすぎず制度を導入して多数の生活が潤っていけるような社会になることが求められるのです。

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